月とスッポン  奈良へ行く
何が置いてあるのか、見るだけでワクワクする。

この人にはコレがいいかな?
みんなにはアレがいいかな?

想像しながら、物色していく。
気になるお土産を手に取り、何に使うか考えながら吟味して行く。

「いい物は見つかりましたか?」
「どれか四神グッズが欲しいなと」

「良いと思ったものを全部買えば良いのではないですか?」
「どれかは欲しいですけど、全部はいらないですねぇ」

「そういうものですか?」
「買ったものは使いたい派なんです。使う予定のない物を買っても無駄でしょ」
「そうなんですか」

大河がしょぼんとしている。

「これにします」

四神のトークバックを手に取り、レジに向かう。
隣に並んだと思ったら、「御朱印も一緒にお願いします」と店員に言う。
即座に「会計は別でお願いします」と店員の目を見てしっかりとした口調で言う。

「それぐらい私が払いますよ」
「“自分の分は自分で”です」

微笑ましく私たちをみる店員の顔は見なかった事にしよう。

時間を確認すれば、すでに4時近くになっていた。
楽しい時間は、経つのが早い。

「ほどんどの施設が17時終わりとなってますので、キトラ周辺をもう少し散策するか、飛鳥寺か安倍文殊院のどちらかに参拝するか。どれかになりますね」
「飛鳥寺ですかね。ここは外せないです」

「では、飛鳥寺へ向かいましょう」

何かにつけて運転席に座ろうとする大河が素直に助手席へ座る。

何か企んでいる様で怖い。

でも、私の番ではあるので、気にするのはやめよう。

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