月とスッポン 奈良へ行く
結局いくら食べたのだろう?
伝票を探せば、大河の横に裏返しで置いてある。
見えないではないか。
「伝票を見せてください」
手を差し出してみる。
「ここは私が払いますので」
「結構食べたので、いくらぐらいになったのか知りたいんです。
店の雰囲気と値段のバランスを確認したいんです」
メニューを見ながら値段を計算していたのだが、食べるに夢中になってわからなくなった。
そう素直に言えば、渋々伝票を渡される。
「1円も受け取りませんからね」
思ったほど高くない。とってもリーズナブル。
この雰囲気でこの値段。最高ではないか!
「お腹も満たされた事ですし、帰りましょうか」
伝票を手にしたまま立ち上がる。
慌てて立ち上がった大河が私の手にある伝票をスッと抜き取り、レジに向かう。
後を追う私に
「こっちに来ないで下さい」と手を伸ばした。
その様子を恰幅の良いおじさんに見られて笑われている。
「ご馳走様でした。とっても美味しかったです」
「同業の人かな?」
「東京で【葛木】という店で働いています」
「葛木って、ひょっとして達哉君のところ?」
「はい、そうです」
「じゃぁ、佐山さんだ。どこかで見た気がしてたんだよ。
そうか、達哉君のとこの子かぁ。おじさんのことなんて覚えてないよね」
「すみません。どこかでお見かけした顔だなぁとは思っていたんですけど、まさか大河さんと知り合いだとか思わなくって」
「そうだよね。世の中狭いよねぇ。ちょっと待っててね」
伝票を探せば、大河の横に裏返しで置いてある。
見えないではないか。
「伝票を見せてください」
手を差し出してみる。
「ここは私が払いますので」
「結構食べたので、いくらぐらいになったのか知りたいんです。
店の雰囲気と値段のバランスを確認したいんです」
メニューを見ながら値段を計算していたのだが、食べるに夢中になってわからなくなった。
そう素直に言えば、渋々伝票を渡される。
「1円も受け取りませんからね」
思ったほど高くない。とってもリーズナブル。
この雰囲気でこの値段。最高ではないか!
「お腹も満たされた事ですし、帰りましょうか」
伝票を手にしたまま立ち上がる。
慌てて立ち上がった大河が私の手にある伝票をスッと抜き取り、レジに向かう。
後を追う私に
「こっちに来ないで下さい」と手を伸ばした。
その様子を恰幅の良いおじさんに見られて笑われている。
「ご馳走様でした。とっても美味しかったです」
「同業の人かな?」
「東京で【葛木】という店で働いています」
「葛木って、ひょっとして達哉君のところ?」
「はい、そうです」
「じゃぁ、佐山さんだ。どこかで見た気がしてたんだよ。
そうか、達哉君のとこの子かぁ。おじさんのことなんて覚えてないよね」
「すみません。どこかでお見かけした顔だなぁとは思っていたんですけど、まさか大河さんと知り合いだとか思わなくって」
「そうだよね。世の中狭いよねぇ。ちょっと待っててね」