本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 真潮の視線が私の唇にいくのがわかった。
 ドキドキしながら真潮の反応を待った。


「李愛っぽくないな。なんか無理してるって感じ。中学生が覚えたてのメイクしたみたい」


 中学生が覚えたてのメイクしたみたい、だなんて――。


「もういい?俺もう疲れたから寝たいんだけど」
「……うん、おやすみ」


 私はただ俯くことしかできなかった。

 ねぇ、真潮。私は少しでも真潮に綺麗だねって思ってもらいたいだけなんだよ。
 私たち、セックスどころかキスすらもしてない。最後にしたのはいつだっけ。

 真潮はもう私に興味がないの?
 私は真潮の何なの……?

 真潮がお風呂に入っている間に化粧を落とした。
 赤いマットリップ、自分では結構似合っていると思っていた。せっかく奮発して買ったのに、使わない方が良いのかな……。

 泣きたくないのに視界が滲んでゆく。
 こんな姿は見られたくないので、顔を洗おうと洗面台に行った。その時ちょうど、ピコンというスマホの通知音が鳴った。

 洗面台に置きっぱなしにしていた真潮のスマホにメッセージが届いたのだろう。
 別に見るつもりはなかったけど、画面が見えてしまった。


「え…………?」


 画面の通知を見た瞬間、私の涙は一瞬にして引っ込んだ。


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