本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。

2.突然の告白



 真潮への疑念を抱えたまま、憂鬱な気持ちで出勤する。
 はあ、と溜息を吐きながらミルクキャンディを舐める。変わらない優しい味が荒んだ心を癒してくれる。


「すみません、糸金さん。今いいですか?」
「あ、はい」


 声をかけられてすぐに仕事モードに切り替えた。私には仕事がある。仕事だけは裏切らない。
 一旦真潮のことは忘れて、仕事に集中しよう。


「糸金さん、今日の飲み会来られますよね?」


 休憩から戻って午後も頑張るぞ、と気合いを入れようとしていた矢先、後輩の小鳩(こばと)さんに尋ねられた。


「飲み会?」
「前から話してたじゃないですか。営業部との合同飲み会」
「あっ……!」


 そういえばそうだった!真潮のことがあってうっかり忘れていた。


「うん、もちろん行くね」
「オッケーでーす!あっ、鷹宮さーん!」


 小鳩さんはちょうど外回りから戻って来たであろう、鷹宮くんに話しかける。
 私の時より声のトーンが一オクターブは高い。


「鷹宮さん、今日の飲み会来られますかー?」
「飲み会?」
「営業部とオペ部の合同飲み会ですよ〜」
「ああ」


 すると鷹宮くんは小鳩さんの背中越しに私に声をかけた。


「糸金さんは来られるんですか?」
「あ、うん、行くよ」
「なら行きます」

< 15 / 54 >

この作品をシェア

pagetop