本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


* * *


「営業部とオペ部の親睦を深めていきましょう!カンパーイ!」
「かんぱーい!」


 あちこちからグラスを合わせる音が響き渡り、飲み会がスタートした。
 必ず営業部とオペ部が一緒になるように座り、私は一番端っこのテーブルに座らせてもらっている。

 ちなみに鷹宮くんが座っているテーブルにはほぼ女子ばっかりだ。ある意味で今日の主役と言っても過言ではない。

 みんなすごいなぁ、と他人事のように思いつつ、私は自分のテーブルの料理を取り分ける。


「あ、糸金さんすみません。さっきから全部やらせてますよね」
「いえ、気にしないでください」
「流石糸金さんはなんでも気が利くなぁ」


 言われてからハッとした。
 もしかして、こういうことしてるのもオカンっぽいって思われる!?

 友達同士でご飯行く時もついやってしまうので、脊髄反射でやっていたけどウザかったかな!?


「ごめんなさい、出しゃばってましたかね……?」
「えっ、なんで謝るんですか?」
「むしろやらせてばっかりですみません!」


 何だか気を遣わせてしまって申し訳なく思った。
 ダメだな、私。こういう時の立ち回り方も下手なんだから。

 とはいえ、飲み会はとても楽しかった。
 料理もお酒も美味しいし、営業部はみんな話が上手くて面白い。
 私はずっと聞いているだけだったけど、すごく楽しかった。


「あの、隣いいですか?」


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