本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 一次会だけで帰ろうとしたところで、鷹宮くんに呼び止められた。


「糸金さん、俺もこっち側なんです。駅までご一緒してもいいですか?」
「あれ、鷹宮くんも二次会行かないの?」
「はい」


 これは女子たち残念がるだろうなぁ。
 なんて思いながら駅までの道のりを鷹宮くんと一緒に歩くことになった。


「鷹宮くん、楽しめた?」
「はい、楽しかったですよ。糸金さんは?」
「私も。営業部ってみんな話が上手くて面白いよね」
「そうなんですかね」
「そうだよ。色んなお話聞けて楽しかったなぁ」


 やっぱり営業はあちこち外回りすることが多いし、人とのコミュニケーションが多いからなのか話題に尽きないのかもしれない。


「糸金さんが楽しそうで良かったです」
「え?」
「朝は何となく元気がないように見えたから」


 嘘、気づいてくれてたの?
 すぐに切り替えられたと思っていたのに。


「うん、実はちょっと落ち込み気味だったんだけど、気分転換になったよ」
「それなら良かったです」


 あの先輩が言っていたように、鷹宮くんは普段からそんなに笑わない。
 でも時折優しそうに微笑みかけてくれる。

 その笑顔がとても美しくて、真潮には申し訳ないけどドキッとしてしまう瞬間がある。
 これはもう、仕方ないよね。本当に鷹宮くんはアイドルみたいなんだから。


「……あれ?」


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