本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


* * *


「こ、これが鷹宮くんのお家……?」


 タクシーが停車したのは、都内一等地にあるタワーマンションだった。
 見るからに高そうなタワマンに連れて来られるとは思わず、呆気に取られてしまう。


「はい」


 嘘でしょ!?営業部のエースともなればこんなタワマンに住めてしまうの!?

 同じ会社のはずなのに、収入格差を見せつけられたようでショックを受けた。


「あの、ご家族は……?」
「俺一人ですよ」
「そ、そうなんだ……」


 鷹宮くんが押したエレベーターの階は、二十六階だった。なかなかの高層階である。

 一人暮らしでタワマンの高層階に住めるなんて、鷹宮くんって一体どれだけ稼いでるの!?


「――あ、いや一人ではないな」
「えっ?」
「まあ、行けばわかりますよ」


 ニヤッと悪戯っぽく笑う鷹宮くんが色っぽい。
 色んな意味でドキドキしながらエレベーターが上昇するのを待つ。

 二十六階はどうやら二部屋しかないようだ。
 どれだけ広いのだろうと思いながら、鷹宮くんが鍵を回してドアノブに手をかけるのを見守る。


「ワンっ!ワンワンっ!」


 扉を開けた瞬間に飛び込んできたのは、大型のゴールデンレトリバーだった。
 鷹宮くんを見つけた途端、尻尾を振って舌を出し、嬉しそうに飛びかかる。


「ただいま、カナ」
「わふわふっ」
「か、かわい〜〜!」


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