本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 まさかこんなにかわいい子がお出迎えしてくれるなんて。
 冷静になるにつれて、やっぱり家に上がるなんて良くないという迷いに駆られていたが、思わずほっこりしてしまった。


「カナリアっていいます。カナって呼んでやってください」
「カナちゃん。かわいい名前だね」
「カナリアイエローから取りました」


 確かにカナちゃんはカナリアイエローの立派な毛並を持っている。
 人懐っこいのか、私に対しても人見知りせずに尻尾を振ってくれた。


「こんばんは、カナちゃん。お邪魔します」
「どうぞ上がって」


 案内されたリビングダイニングはとても広々としていて、綺麗に整えられていた。
 物は多くないけれど、カナちゃんのお家やおもちゃなどが置かれている。インテリアはウッディ調で統一されていて温かみのある印象だった。

 掃除が苦手で散らかしっぱなしの真潮とは違い、綺麗にされているのがよくわかる。


「散らかっててすみません」
「えっどこが?すごく綺麗でびっくりしちゃったよ」
「そうですか?ソファに座っててください」
「ありがとう」


 お言葉に甘えてソファに浅く腰掛ける。
 明るめのブラウンのソファは少し腰掛けただけで、低反発で座り心地抜群だ。


「カナにご飯あげるんで、適当にくつろいでてくれますか?」
「あ、もうお構いなく」


 カナちゃんは鷹宮くんがご飯の準備をし始めたところから、早く早くと言わんばかりに鷹宮くんにくっついていた。
 鼻を寄せてクンクンしている姿がとてもかわいい。


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