本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。
「う、うそ……ええ?」
「困らせてますよね、すみません」
「えっ、いやそのっ」
大型犬がシュンとしているみたいな鷹宮くんはかわいい。
不覚にもときめいてしまう。
いや、不覚にもなんて嘘だ。さっきから鼓動が速いのは鷹宮くんのせいなのだから。
「糸金さん、いえ李愛さん」
「ふ、ふえっ!?」
急に下の名前を呼ばれて間抜けすぎる声を出してしまう。
「年下は嫌いですか?」
「え、いや……」
嫌いでは、ない。年下を好きになったことはないけれど、別に年下だからではない。
というより、鷹宮くんのことは年下だけどすごくしっかりしていると思っていたので年齢は関係ないと思う。
「嫌いではない、よ……?」
「じゃあ、俺本気出しても良いですか?」
「!? え、あの」
「俺なら李愛さんにそんな顔絶対させない」
鷹宮くんは私から一ミリも視線を逸らさない。
真正面から私の瞳を捉える彼の瞳には、揺らがない強い決意のようなものを感じた。
ああ、なんて綺麗な顔だろうと場違いなことを考えてしまう。
だってそうしないと思考回路がパンクしてしまいそうなんだもの。
彼氏に浮気されてドン底にいたと思ったら、社内一のイケメンでアイドル的人気を誇る後輩に告白されるなんて思っていなかった。
これが一日に起こった出来事だなんて、誰が信じてくれるのだろう。
自分でさえ信じられなくて、ドラマを見ているのかとさえ思えてしまう。
「本気出しますね」
はっきりと私の耳に届く真っ直ぐな言葉が、酔っ払っているわけでも夢でもないことを実感させる。
一体どうすれば良いのだろう――?