本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 真潮は尚も悪びれた様子はなく、ペラペラと続ける。


「それは、俺がホテルに入ったという写真に過ぎない。お前は俺がこのホテルから出て行く姿を見たのか?この女性は一緒だったのか?」
「見てないけど、そんな屁理屈が通るわけないじゃない!浮気してたんでしょ!?」
「うるせぇなぁ!!」


 急に苛立った大声をあげ、私を遮った。


「違うって言ってんだろ!!ちゃんと見てもいないくせに、いい加減なこと言ってんじゃねぇよ!!」
「……っ」
「大体仮に俺が浮気してたとして、お前に責任はないと言えるのか?――李愛」


 は…………?


「お前は俺を繋ぎ止める努力をしていたのかって聞いてんだよ」


 この人は、一体何を言っているの……?


「李愛さぁ、付き合い始めた時と今とで全然違くない?昔はもっとちゃんとしてたのに、今は髪も化粧も適当じゃん。女として磨く努力、ちゃんとしてた?」


 な、何なの?


「同棲して気が緩んでるんじゃない?」


 なんで私が責められているの?
 どうしてそんなこと言われなきゃいけないの?

 付き合い始めた頃は、確かに今以上に身なりに気を遣っていたと思う。
 真潮に好かれたくて、頑張って無理をしていた。

 でも、「李愛はナチュラルな方がかわいいよ」って言ってくれたのは真潮じゃない。
 それに私は努力をしてなかったわけじゃない。

 この前だって、綺麗だねって言って欲しくて新しいリップを買ったのに。


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