本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 それを否定してきたのは、真潮じゃない……っ!!


「う……っ」
「なんで泣くの?泣きたいのはこっちなんだけど。浮気疑われて気分最悪だわ」


 浮気をしていたのは間違いないのに、私はそれ以上悔しくて何も言えなかった。

 どうしてこんなに傷つけられなければいけないのだろう?
 私たちの四年間は何だったのだろう?

 ただ、一言謝って欲しかった。
 それなのに……っ。


「謝れよ、李愛」


 どうして私の方が謝罪を求められなければならないの?

 悔しくて惨めで仕方ない。
 言い返したいのに、何か言葉を発しようとすると喉元で詰まって言葉が失われる。

 軽蔑するような視線が突き刺さる度、私の心はすり減っていく。

 唇を噛み締め、ただ涙を流すことしかできない自分が情けない。


「〜〜っっ」
「もういいよ」


 そう言うと真潮は、私の腕を掴みそのまま強引に引っ張って玄関の外に追いやった。


「え…………」
「しばらく帰って来なくていいから、頭冷やしてこいよ」


 冷たく言い放つと、私の財布を投げつける。
 バタン!というドアが閉まる大きな音の直後、ガチャリと鍵が閉まる音がした。

 嘘でしょ、締め出された……?


「ま、真潮……っ!」


 なんで?なんでなの?
 私が悪いの?

 どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないの……?


「うっ、うう……っ」


 鍵がかけられたドアの前でしゃがみ込み、私はボロボロと涙を流すことしかできなかった。


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