本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。
幸いにしてまだ午前中。時間を潰すのに困るような時間ではない。
私は近所のカフェに入り、コーヒーを飲みながら気持ちを落ち着かせようとした。
だけど、一人でいると涙が止まらなくなる。
公共の場でボロボロ泣いていたら変な目で見られるとわかっているのに、とめどなく溢れて止まらない。
どうしよう、どうしたらいいの……?
ピコン。
通知音とともにメッセージが届く。
鷹宮くんからだった。
スワイプしてメッセージ画面を開くと、写真が一枚送られていた。
カナちゃんがゴローンと寝転がってこちらを見つめている写真だ。
お腹を見せ、キュルキュルしたおめめを向けているのは、鷹宮くんに甘えている証拠だろう。
とてもかわいい。
「かわいいなぁ……」
更に続けてメッセージも届いた。
「あんな写真だけしかないの嫌なんでカナでリセットさせてください」
リセットだなんて。
思わずクスリと笑ってしまった。
笑いがこぼれた直後、自分でもわけがわからないくらいに胸が締め付けられて――考えるより先に手が動いていた。
気づいたら鷹宮くんに電話をかけていたのだ。
『もしもし、李愛さん?』
優しい声を聞いた途端、涙がもっと溢れ出る。
「たかみやく……っ」
『李愛さん?今どこにいるんですか?』
「うっ、私……っ」
嗚咽を漏らしながら上手く喋れない私に対し、鷹宮くんは優しく受け止めてくれた。
私が落ち着くまで、ただ待ってくれた。