本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 家の近所のカフェにいることを伝えると、「すぐに向かいます」と言って電話が切れた。
 少しずつ落ち着いて冷めたコーヒーをちびちび飲んでいたら、私服姿の鷹宮くんがカフェの中に駆け込んで来た。


「李愛さん……!」
「鷹宮くん……」


 本当に来てくれたなんて。
 鷹宮くんは私の隣に座ると、そっと頬を撫でた。


「目が腫れてる。たくさん泣いたんですね」
「……ん」
「何があったか話してくれますか?」


 私はこくりと頷き、鷹宮くんと別れた後のことを全て話した。
 真潮が堂々と朝帰りしてきたこと、例の写真を見せて詰め寄ったら反省するどころか逆ギレしてきたこと、家から追い出されたこと。


「なんだよそれ!あり得ない!自分の浮気を認めないどころか李愛さんを責め、挙句には家から追い出すなんて。最低すぎるだろ!!」


 いつも冷静な鷹宮くんらしくない程、声を荒げて怒ってくれた。


「李愛さん、お願いです。やっぱり俺の家に来てください」
「でも……」
「これ以上李愛さんがぞんざいに扱われて虐げられる姿を見過ごせません。絶対に何もしないと誓いますから。カナに見張らせてもいい」
「……鷹宮くんのことは信じてるよ。でもこれ以上甘えるわけには……」
「俺がそうさせて欲しいんです!」


 鷹宮くんは真っ直ぐ私の目を見て、必死に懇願した。
 こんな鷹宮くんを見るのも初めてだった。


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