本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


「そういえば、彼氏さんもといクズ男の勤め先ってどこなんですか?」
「人材派遣会社だよ。ホークエージェンシーっていう、業界では大手の会社」
「ああ、もちろん知ってます。ホークエージェンシーでしたか」
「あの女性は転職活動中の担当顧客で相談に乗っていたら遅くなったって……絶対に嘘だよね」
「それが本当なら担当者としてあるまじき行為ですけどね」


 そんな話をしていたら、昨日ぶりとなる鷹宮くんのタワマンに到着した。
 明るいうちに見上げると、やっぱりかなり立派なタワマンであることがよくわかる。

 昨日は夜遅くて不在にしてたけど、コンシェルジュまで常駐してるなんて。
 絶対に高級タワマンだよね……?

 鷹宮くんがドアを開けると、今日もカナちゃんが元気に出迎えてくれた。


「カナちゃん、今日もお邪魔するね」


 私のことを覚えてくれていたかはわからないけど、カナちゃんは尻尾を振りながらすり寄ってくれた。
 人懐っこくてかわいいな。


「カナが懐くなんて珍しいな。あんまり俺以外の人に尻尾振らないんですよ」
「そうなの?」
「カナも李愛さんが気に入ったのかもしれないですね」


 そうだったら嬉しいな。
 私はわしゃわしゃとカナちゃんの頭を撫でる。


「すみません、ちょっと一本電話をかけたくて。適当にくつろいで待っててくれますか?」
「うん、忙しいのにごめんね」
「いいんですよ、俺が連れて来たんだから」


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