本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。
お昼ご飯にあまり時間をかけてもな、と思ったのでなるべく時短でパパッと、でもこだわるところはこだわって手抜き料理にはならないように。
「はい、できました」
「すごい!美味そう!」
鷹宮くんは一口キーマカレーを食べた瞬間、大袈裟な程褒めてくれた。
「美味い!今まで食べたキーマカレーで一番美味いです!」
「そんなお世辞やめてよ」
「いやマジで。こんなに美味いものパパッと作れて、李愛さん天才ですね」
むず痒いけどすごく嬉しい。
毎日ご飯を作っても全く褒めてくれない真潮とは大違いだな……。
「……」
「李愛さん、あいつのこと思い出してました?」
「あっいや……真潮はそんな風に褒めてくれなかったな、と思って……」
「李愛さん……」
鷹宮くんはグッとスプーンを握りしめた後、何かを決意したような表情で顔を上げた。
「李愛さん、実はどうしてもやらなきゃいけないことができたんです」
「そう、なの?」
「はい。それで明日一日家を空けることになるんですけど」
「だったら私、帰った方が」
「いえ、いてください。カナのペットシッターをお願いしたいんです」
「ペットシッター?」
思わずカナちゃんに目をやった。
カナちゃんは既にお昼ご飯を食べ終わり、ソファの近くですやすやと眠っている。
「俺が出張の時はいつもペットシッターを頼んでるんです。でもカナ、人見知りするから知らない人がいるとストレスになるので。李愛さんには懐いてるから安心すると思うんです」