本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 なるほど、そういうことなら引き受けないわけにはいかない。


「わかった。私にできるのなら、やらせてもらうね」
「ありがとうございます。シッターが来た時のためにカナの好きなものとかメモしてあるので、後で渡しますね」
「ありがとう。それにしても、日曜日も仕事なんて営業は大変だね」
「正確には仕事じゃないんですが……まあそんなところです」


 何だか含みのある言い方だなぁと思った。


「それにしてもこのキーマカレー、めちゃめちゃ美味いですね」
「まだおかわりあるよ」
「いただきます」


 鷹宮くんはあっという間に平らげて本当におかわりしてくれた。
 そんなに喜んでもらえると、作り甲斐があって嬉しいな。

 鷹宮くんと一緒にいると、傷が癒えるように心の痛みが和らいでいく。
 全てを忘れることは難しいけれど、ほんわかとした穏やかな時間を与えてくれる。それがとても心地良くて安心する。


「――幸せだな」


 鷹宮くんがポツリと呟いた。


「こんなこと思っちゃいけないってわかってるけど、俺今すごく幸せです」
「鷹宮くん……」
「あの、李愛さん。全部が片付いたら、もう一度告白させてください」
「え……」
「俺は絶対にあなたを守り抜いてみせます」


 彼の一途すぎる想いは粉々に砕けた私の心を拾い上げ、包み込んで抱きしめてくれる。
 そんな彼の気持ちに、私も真剣に向き合わなければいけないと思った。


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