本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。
「鶴谷さん、本日はよろしくお願いします」
「堅いなぁ!すっかり立派になったんだなぁ、嗣実。で、そちらは?」
「僕の補佐担当の糸金です。こちらはホークエージェンシーのマネジメント部部長、鶴谷さん」
「初めましてっ!糸金李愛と申しますっ」
マネジメント部部長と聞いて、心臓が跳び出るかと思った。
だってそれは、真潮の直属の上司に当たるということだもの……!
「鶴谷さんは父の知り合いで昔からお世話になっているんです」
「嗣実がガキの頃からよく知ってるよ。てっきり親父さんの会社を継ぐと思っていたのに、オウルフーズに入社するとはなぁ」
お父さんの会社……?
「その話は良いじゃないですか。それよりも……」
「ああ、そうだったな」
それまで和やかに話していた二人だったが、急に鶴谷部長の表情が険しいものになった。
「会議室を予約してある。好きに使ってくれ」
「ありがとうございます」
何だかよくわからないまま、私たちは社外対応の際に使用するであろう会議室に通された。
てっきり今後の取引の話をするのだと思っていたのだけれど……そういうわけではないの?
どうやら鶴谷部長は同席しないようだし、一体誰と話すのだろう――?
「……失礼します」