本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 私には彼女は先に帰ったと言っていたけど、一緒にホテルを出て行く姿を撮られたら言い訳はできないだろう。
 まさか鷹宮くん、それを見越して?


「……っ、李愛!!何なんだよこいつ!!」


 真潮は顔を真っ赤にさせ、大声をあげて立ち上がった。


「お前がこの男に撮らせたのか!?舐めた真似しやがって!」
「彼女は関係ない。僕一人でやりました」


 鷹宮くんはすかさず制して守ってくれた。


「父の会社で顧客に手を出す担当者がいるというのは、信用問題に関わりますからね」
「は……?」
「僕の父は御社の親会社であるTMホールディングスの代表取締役なんですよ」
「なっ!?」


 その言葉には私も驚いて言葉を失った。
 鷹宮くんがTMホールディングスの社長子息だったなんて。

 真潮は赤かった顔がどんどん白くなっていき、唇をワナワナと震わせている。


「糸金さんという恋人がいながら平気で顧客である女性に手を出し、反省するどころか彼女を責め、同棲しているのに彼女を家から追い出す。人間性を疑うとしか言えません」
「ま、待ってくれ……違うんだ、これはあの女が」
「まだ自分の非を認めないつもりなのか?」


 鷹宮くんは見たこともない程に怒りを滲ませ、絶対零度の声で真潮を威圧する。
 正に名前の通り、獲物を狩る鷹のようなオーラに圧倒され、真潮は縮み上がっていた。


「二度と李愛さんに近付くな」


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