本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 私には付き合い始めて四年になる彼氏がいる。一年前から同棲を始めた。


「ただいま」
「お帰り。遅かったな」
「急な依頼で残業してたの」
「ふうん。ねぇ、腹減ったんだけど」
「昨日作っておいたって言ったじゃない。ご飯炊いて温めるだけだって」
「やろうと思ったけど、やっぱり李愛が帰って来てからのが良いかと思って」


 私は、はあと溜息をつく。
 そんなこと言って、ただめんどくさかっただけなのだろう。
 彼氏の以津(いづ)真潮(ましお)はいつもそうだ。

 炊飯器にセットされた米はスイッチが押されていないし、食器は片されず朝のまま。
 もちろんお風呂だって湧いているわけがない。


「……今やるから」


 同棲する前から真潮は家事が苦手だと公言していたが、少しずつ覚えて頑張ると言ってくれた。
 それなのに今では全ての家事を私がやっている。
 今日みたく私の方が遅く帰宅しても、家は散らかったまま何一つやっていない。


「真潮、ご飯食べよう」
「サンキュー」


 真潮は食事中もずっとスマホを見ている。
 何やらずっとハマっているアプリゲームがあるらしい。


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