本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。
もしかして彼氏と上手くいってないのかなと思ったが、自分がそう思いたいだけなのかもしれないとも思った。
だがあの夜、俺が思っていた以上に事態は酷かったことを知った。
傷付き涙する李愛さんを見て、胸が締め付けられると同時に激しい程の恋情に狂わされた。
持て余していた溢れる程の想いを、もう抑えることができなかった。
「あんな男やめて、俺のものになればいいのに」
俺なら泣かせない、絶対に愛し抜くと誓えるのに。
その男の勤め先がTMのグループ会社・ホークエージェンシーだと知り、俺は形振り構わずに行動を起こした。
李愛さんのためならコネでも何でも使ってやる。
* * *
「李愛さん」
「ちょ、鷹宮くん!会社で下の名前はダメって言ったでしょ」
頬を桜色に染め、むうっと唇を尖らせても俺には誘われているとしか思えない。
「誰かに見られたらどうするの?」
「誰も来ませんよ。この会議室、十六時まで俺が取ってるんで」
「そういう問題じゃない!」
「だって、家に来てもカナにばっか構うじゃないですか」
カナと遊んでくれてカナも李愛さんに懐いてるのは嬉しいけど、俺にも構ってくれないと。