本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 私にばかり任せないでやって欲しいという気持ちもある。
 でもそれ以上に真潮に嫌われたくない。失望されたくない。

 付き合い始めた頃のような恋人関係に戻りたい。
 だから私がもっと頑張れば、優しかった真潮に戻ってくれるよね?

 真潮はまだ私のこと、愛してくれてる――?


 * * *


 翌日、憂鬱な気持ちを吹き飛ばすために朝から気合いを入れ、仕事に集中した。
 おかげさまでとても捗り、かなり早めに終わらせて提出することができた。


「糸金さんありがとうございますっ!!こんなに早く対応してくれて、何とか提案できそうです!」
「よかった。頑張ってくださいね」
「はいっ!」


 鴨居さんは半泣きになりながらとても喜んでくれた。
 この「ありがとう」の言葉が救われる。やってよかったと思わせてくれる。

 無事に終わってホッと胸を撫で下ろし、お手洗いに行った。
 その帰り、自販機でカフェオレを購入した。自分へのちょっとしたご褒美だ。
 自販機の前には給湯室があり、その前を通りかかったところでこんな会話が聞こえてきた。


「糸金さんってほんと仕事早くて助かるよな」
「わかる、急に頼んでもすぐ対応してくれるもんな」


< 7 / 54 >

この作品をシェア

pagetop