朔くんに迫られるんですが
lv.1
二〇二三年四月七日、高校二年。
「何で寝坊するかな…」
漫画の世界線みたいに、食パンを咥えて走り、曲がり角で美青年とぶつかる…。
なんてことはしないけど、遅刻しそうなので何も食べずに学校までの道のりを、ただ我武者羅に走った。
楽しみにしていたはずのクラス替えなのに、一日だけ学校に行って、また休みなのは萎える。
でも親友のみづきと千里とは、中学から一緒でもクラスが一緒になったことはなく、今回こそはと願っているから、結果を見るために遅れてはいけない。
満開に近い桜を呑気に眺める暇もなく、咲いたばかりの桜を散らすほどの速さで駆け抜けて、校門をくぐった。
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