朔くんに迫られるんですが
帰り道で卵焼きの話をしていたからか、私とお母さんの会話を聞いた朔が笑い出した。
「すみません、こんにちは。朔 遼太郎と言います」
「朔くん…こんにちは」
「お母さん、話してた友達だよ」
「…あっ!あなたが!尚、やったね」
だから…。朔の目の前でやったねとか言われると、色々勘違いされるから。
「尚さんとお付き合いさせてもらってます。今日はお母さんに挨拶をと思って」
「ご丁寧にありがとう。尚から聞いてるわよ。これからも尚のこと、よろしくね。あなたに尚を託すわ」
「お母さん!託さなくて良いから!」
「はい、託されました。こちらこそ、よろしくお願いします」
私がどれだけ遮っても、お母さんと朔は仲良く握手をして、その後卵焼きの話で盛り上がっている。
私そっちのけで。
朔は挨拶もできて律儀だとお母さんは気に入ってくれて、土曜日に遊園地に行く許可も〝どんどん行きなさい!〟と了承してくれた。