朔くんに迫られるんですが
敵を捕食する前に、見定めをされているみたいで緊張するから、やめてほしいんだけど。
「次の時間に委員会決めるから。何に入るか候補出しといてー」
言葉も仕草も緩い担任は、それだけを吐き捨てて職員室に行ってしまった。
先生、行かないで。また、沈黙の痛い視線が刺さり続けるから。
「茅柴」
「…はい」
「何をそんなに怯えてんの」
「いや、何って。あなたに怯えない人、居ると思う?」
「森沢と洸」
「洸?」
「森沢の彼氏」
「あぁ…」
朔の圧が怖くて目も合わせずに、淡々と言葉を交わす。
言われたことだけに答えて。