朔くんに迫られるんですが
多分、朔は冗談でその言葉を私に言ったんだと思う。
まだ高校生で付き合うなんて、遊びのうち。
でも私はあの時、朔の姿を見て本当に将来像が見えた気がした。
「うん、見えた。朔くんのこと、少し好きって思えたかな」
「え…」
「すごく格好良かったよ。ありがとう」
もう傷つけたくないから。素直に口にしなきゃ。
私の言葉に朔は目を見開いて、独り言のように何かぶつぶつ言っていたけど、聞こえなかったから聞き返さなくても良いよね。
自分の中で何かが一つ進んだ気がして、気分は晴れやかだった。