朔くんに迫られるんですが
思わず、〝らしくない〟なんて言うと、朔は眉間に皺を寄せる。
偏見が良くないことは、分かってる。
でも、強そうな雰囲気の人が弱気発言をすると、ギャップに驚くもの。
慌ててフォローしようとしたけど、出てしまった言葉は撤回できず、あたふた。
すると朔は焦る私を見てクスッと笑い、椅子ごと私に近づいた。
「本当の俺を知らないから、そう言えるんだろ?」
「本当の、朔くん」
近いです、朔くん。すごく近い。
私の椅子にぶつかるまで近づいて、顔の距離も小声で話しても余裕で聞こえるほど。