朔くんに迫られるんですが
「え!?朔、くん…」
「大丈夫。教科書貸して」
何で朔になるの?
でも朔は動揺することもなく、四コマ漫画のページを開いたままの教科書を取ると、二十八ページを開き直して、すらすら読み始めた。
朔が優等生に見える。
学年全体の成績は、下から数えた方が早いと聞いたことがあるし、授業を真剣に受ける様子もなかったから、てっきり噂は本当なんだと信じていた。
家では勉強しているんだな。もしかしたら今日寝坊したのも、夜通し勉強していたから?
それなら授業前の寝坊の理由が嘘になる。