朔くんに迫られるんですが
どっちが本当なんだろう。
朔から聞いた言葉を信じたいけど。
「せっかく読めたのに、教科書持ってきてないんじゃ、成績も上げられないじゃないか」
「次から持ってきます」
「頼んだぞ」
読み終わった朔が、席に着いた。
先生も次のページの話をし出したから、隣の席に近寄る。
「朔くん」
「おぉ、びっくりした…」
「隠し事はしないでね。嫌じゃなかったら、だけど」
「…何の話。もう何もないよ」
「古文得意なんて聞いてないし」
「それ隠し事じゃねぇじゃん。歴史が好きなだけだよ」
「ふーん…。じゃあ遅刻にしては遅すぎたのは?」
私、頭おかしくなったのかな。
朔に興味なんてないと言っている側だったのに、今は何もかもが気になって仕方ない。
自分がストーカーみたいに思えて、すぐに我に返った。