朔くんに迫られるんですが




どっちが本当なんだろう。


朔から聞いた言葉を信じたいけど。





「せっかく読めたのに、教科書持ってきてないんじゃ、成績も上げられないじゃないか」


「次から持ってきます」


「頼んだぞ」





読み終わった朔が、席に着いた。


先生も次のページの話をし出したから、隣の席に近寄る。




「朔くん」


「おぉ、びっくりした…」


「隠し事はしないでね。嫌じゃなかったら、だけど」


「…何の話。もう何もないよ」


「古文得意なんて聞いてないし」


「それ隠し事じゃねぇじゃん。歴史が好きなだけだよ」


「ふーん…。じゃあ遅刻にしては遅すぎたのは?」





私、頭おかしくなったのかな。


朔に興味なんてないと言っている側だったのに、今は何もかもが気になって仕方ない。



自分がストーカーみたいに思えて、すぐに我に返った。




< 189 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop