朔くんに迫られるんですが
女の私でも、惚れてしまいそうな魅力的な人で、黙って見つめてしまった。
「あの…。本を返しに来たんだけど、良いかな?」
「…あ、どうぞ!」
本を受け取ってバーコードを読み取ると、〝向井夏実〟とパソコンの画面に表示された。
「向井さんですね。確かに返却されました。ありがとうございます」
綺麗な人だと、自然に頬も緩む。
満面の笑みで頭を下げると、不思議そうに私を見ていた。
何か変なものでも、顔についていただろうか。