朔くんに迫られるんですが
赤ちゃんをあやすように、とんとんと背中を叩くと〝子どもじゃないんだけど〟と、いつか図書室で言われた言葉と同じことを言った。
「じゃあ赤ちゃんだね」
だから返しも、同じ言葉を返した。
すると、〝甘く見られちゃ困る〟と抱きしめられたまま、朔がぐっと寄りかかるものだから、後ろによろけて床に二人して寝転がってしまう。
「朔くん…もう、っ」
重いじゃん。と言おうとしたのに、不意に朔だけ床に手をついて起き上がるから、押し倒された状態に。
その時の表情が、子どもとか赤ちゃんではなかったから、言葉が出なかった。