堅物くんの理性、ブチギレ0.5秒前




バチバチと火花飛び散る目線の先にはお互いがいて、この頭の固いイケメンにふんっとそっぽ向けば「まるで子供だな」と呟かれるから、カチンと頭にきてしまう。



「お邪魔しました……っ」


「待て」


「……なんですか」


「スカート、膝下までおろせ。
 校則で決まっているはずだ」


「そんなの今の時代、関係ないし他の学校なんて……」


「他所は他所、うちはうちだ。」


「む……」



いつの時代の男なのよ、まったく。


絶対膝上から下ろしてなんかやるもんか、と。くるりと回って弓道場から出ていこうとするとーースパンっと風を切って的に当たる矢の音が背後から聞こえてきて……一瞬、射貫かれたかと命の危機を感じた。


どう見ても弓道部の彼は、的の真ん中に刺さる矢を見ても無表情のままだ。



「……すごーい、上手いんですね先輩」


「中学生の頃から共に過ごしているからな。
 ……それよりも、どうしてもスカートをなおしたくないのなら、ジャージにでも着替えろ」


「持ってません」


「そうか、なら俺のを貸せよう」


「え」


「大きいと思うが足首まで捲ればなんとか……」


「ちょっ、ちょっと待ってください」


「ん?」


「それって超ダサいじゃないですか!!
 ブカブカだし……男物のジャージって、つ、付き合ってるわけでもあるまいし」


「……」



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