まだ見ぬ恋の待ち合わせ (短)
「うわ、最悪!」
「どっかお店に入ろう!」
帰り道には、既に誕生していたカップルが私の前を歩いていた。
その二人は、互いの手を取ってこじゃれたカフェへと入っていく。
あぁ、いいなぁ……。
私も学校帰りに、あんなお店に寄ってみたい……。
「って一人じゃ無理だけどさぁ」
はぁ――と。
今日何度目かになるか分からないため息をついた、
その時だった。
ププッ
高いクラクション音が聞こえたと思ったら「君」と。
落ち着いた優しい声が、後ろから聞こえた。
「君だよ。カバンに白いスカーフを巻いてる、茶色い髪の君」
「わ、私……?」
学校を出た直後から、胸の前の白リボンがやたら窮屈に思えて、カバンにくくっていた。
周りを見ると、そんな事をしている人は一人もいない。
ということは、やっぱり私なのね……?
誰が私を呼んでるんだろう、と。
意を決して振り向くと――