結ばれなかった赤い糸

そして前と花火が働き始めて三年後、花火は一枚の置き手紙と三百万円を置いて消えてしまった。



一年後、前はスマホを握り締めたまま花火の消えた家のリビングにいた。この一年はあっという間に過ぎていった。

花火がいなくなったことに、彼女の両親は酷く動揺し、何度も謝罪を繰り返していた。結婚の話は当然白紙に戻り、前は両親からお見合いを勧められたものの、断り続けていた。花火を探すためである。

探偵を雇い、前は花火を探していた。探偵からの連絡を毎日のように待っている。

「花火、どこに行ったんだ……」

もう一度会いたい、その想いが日に日に強くなっていく。胸の高鳴りが切なく響く。その時、前の手の中のスマホが鳴り出した。探偵からである。緊張を覚えながら前は電話を取る。

「も、もしもし」

『もしもし。手鏡花火さんの件ですが、彼女の居場所が見つかりました』

「本当ですか！？」

『彼女は今、××県××市にいるようです』