迷路の先には君がいた
 今はその線から外れて、すでに遠くへ歩き出した人。

 彼はただの昔の知人。そう言い聞かせた。

「あなたは一体こんなところで何をしているの?ここはホテル関係者以外立ち入り禁止のはずよ」

「ああここはね、君も知ってる通りホテルの裏事情がわかる場所だ。ニューレジェンドホテルグループの内情を探りに来たが、最高の秘密と遭遇出来た。興奮してるよ」

「何を言ってるの?」

「最大の秘密は芙蓉、君だ。君こそ僕の質問に答えろ。今日は朝から繁から君の存在を匂わされ、僕が一体どんな気持ちだったと思う?」

「……」

 芙蓉は何も答えられなかった。黙って下を向いて背中を向けた彼女に鋭い声が飛んだ。
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