迷路の先には君がいた
「……それは……」
「あの日、俺は君と別れ話をした覚えはない。君が勝手に俺の目の前から消えて、連絡を絶った。そして無視し続けた」
芙蓉は刺すような彼の目線と言葉に、返すことができなかった。そしてまた、黙って背を向けた。
「芙蓉!また逃げるのか?」
芙蓉は目をつむり、そして今度は笑顔で振り向いた。
「鷹也、本当にごめんなさい。あなたの目標到達も目の前だわ。あと少しだから、余計なことに気を取られず頑張ってね。あれからずっとあなたを応援していた。お願い、私のことは忘れて……」
またも背を向け、逃げるように走り去る芙蓉を鷹也は追いかけなかった。