迷路の先には君がいた

 そこへ同様に社会人留学してきたのが、六歳上のツインスターホテルの御曹司である中田鷹也だったのだ。

 彼は英語ができたが、国内向けサービス中心の自社ホテルに新しい風を入れたいと勉強のため留学したと話していた。

 幼馴染で喧嘩も多い芙蓉と繁の間に、明るい鷹也が入り、三人で何とか厳しい授業も、課題やレポートも乗り切ってきた。

 お嬢様育ちの割には責任感もあり、負けず嫌いでいつも頑張りすぎて身体を壊しがちな芙蓉を、少し大人の男二人が上手に助けてくれていた。

 そして、綺麗な芙蓉が通りで男性に声をかけられるたび、繁より英語の堪能な鷹也が間に入って芙蓉を守った。

 その頃からだった。繁が鷹也と芙蓉のことで喧嘩になった。
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