迷路の先には君がいた
「ああ、それがいいだろうな。うちで暮らすかい?」
「いいえ、本店の女子寮に入れてください。そして、私のことは誰に聞かれても答えないでください」
「ああ、できる限り秘密にしよう。芙蓉ちゃんのことは全部お前に任せるぞ。いいか、繁?」
「うん、いいよ。芙蓉は将来の嫁なんだから俺が何もかも面倒みるよ。ああ、これから芙蓉を独り占めできるなんて嬉しいよ」
芙蓉は嬉しそうな繁の顔を見た。結局、繁のところに戻ってきてしまった。ロンドンに行った時からついてきて、もしかすると結婚させられるんじゃないかとひやひやしていた。
鷹也と付き合いだして、ようやく繁と終われると思ったのに、運命はどこまで皮肉なんだろう。
結局、ここにお金を借りたと聞いたときからこうなることは覚悟していた。