迷路の先には君がいた
鷹也は日本のホテルグループのトップに立つことを夢見ていた。
彼にはそれができると芙蓉は見ていた。
応援したい。足手まといにだけはなりたくないのだ。
だからこそ、何も言わずに彼の前から姿を消した。
今頃、彼はスワンホテルを訪ねているだろう。居留守を使われ、追い出されているかもしれない。
鷹也も数年あれば芙蓉に見切りをつけ、目標に向かってきっと頑張るに違いない。
本当は、共に寄り添ってお互いのホテルグループを育てながら生きていきたかった。でも、もう無理だ。
彼が他の女性と一緒になることを想像するだけで身を切られるようにつらかったが、我慢するしか今の芙蓉にできることはなかった。