迷路の先には君がいた

「そう……言った通りにやってくれた?」

「ええ。彼は相当ショックだったんでしょう。辛そうで……同情していた由里が話してしまいそうでしたので、私が対応しました」

 由里は何度かロンドンに来て、鷹也と顔見知りだった。彼のことを誰より評価していた由里は、芙蓉のしたことを聞いて最初非難した。

 でも芙蓉の苦しげな様子を見てすべてを理解し、最後まで貝原を頼ることに反対していたという。

「彼の為よ。私を恨むかもしれない。四年後はもっと……でも、彼に今の状況を知られたら、恐らく全てをなげうって私を助けようとする。彼の障害にはなりたくないの。四年は資金作りのためでもあるけど、お互いを忘れる時間にするつもりよ」

 由里は重い口を開いた。
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