迷路の先には君がいた
「芙蓉様。ここ最近、中田様から連絡はありましたか?」
「いいえ。ここ一週間ないわ」
「実は先週最後に訪ねてこられたとき、もういいよと吐き捨てるようにおっしゃって振り返りもせずいなくなられました……見るからに痩せてしまわれて、様子が変でした。ただ、不思議なのはあの方のおうちの力を使えば、多少なりとも調べることもできるはずなのに、私共に聞くばかりで……」
芙蓉と相思相愛だと思っていた鷹也にとって、この仕打ちは到底許せないだろう。
家の力を使うことはできるだけしたくない、普通の感覚を失うと経営に差し触りが出ると常々言っていた。
彼はそういう人なのだ。