迷路の先には君がいた
あのとき、カーテンの中で先に声を聞かなければ、会ったところで誰だかわからなかったくらいだ。
だが、変わらないものもあった。
彼を見て感情を爆発させ、涙をたたえたあの瞳。それがすべてを教えてくれた。
鷹也は確信した。芙蓉は俺をまだ愛してる。会いたかったとあの涙をたたえた瞳が言っていた。
繁が今になって彼女の存在を匂わせたのは、もうすぐ結婚するからだと自慢された。繁は鷹也の驚いた顔を見て、ほくそ笑んでいた。
芙蓉を狙っていた繁は、大学で彼女を奪われて転学した。当時鷹也は、繁がいずれ無理やり親の力を借りて何かしかけてくるかもしれないと頭の隅で考えてはいた。