迷路の先には君がいた
「鷹也様。スワンホテルは国にとっても大切なホテルグループで、親しい外交官を通して外務省もバックにつき、ニューレジェンドホテルへ内密に肩代わりを持ちかけたようです」
「そうだったのか」
「当時うちの旦那様もご存じありませんでした。そのくらい、完璧に秘されていたのです。国から大事にされるホテルグループというのはすごいですね」
「まあな……スワンは別格だ。正直ニューレジェンドホテルより格が数ランク上のホテル。国賓も来る。各国の大使やら王族やら、とにかく海外の賓客が多くて、国内の客の方が少ないからな」
「芙蓉お嬢様の父上は入り婿で、元々あまり祖父であるオーナーから仕事を任されておられませんでした。だから表面上いなくなってもわからなかったのでしょう」