迷路の先には君がいた
「榊原財閥の御曹司は、本当に旦那様ご夫妻と親しいですから……それもいい考えですね」
「それと玖生から有能な弁護士を一人借りる」
「なるほど。清家財閥もバックにあるとは、鷹也様は天下を取ったようなものですね」
「それはどうかな。俺の人生で一番大事なものが何なのか、この四年でよくわかった。今の状態で天下を取っても、俺は何も嬉しくない」
佐々木は鷹也の達観したような横顔を見た。
「安心いたしました。ようやく坊ちゃんがご自分のことで本気になられた。私は今こそ、なんでもお手伝い致します」