迷路の先には君がいた
「スワンからどれだけ多くの細井さんをご指名のお客様がいらしているかご存じないようですね。私どころか、彼女のこのニューレジェンドホテルでの貢献は計り知れないものがあります」
「結局は自分とスワンホテルのためですよね。勝手なことをしていいと思っているんですか?」
「お言葉をそのままお返しします。三日前の夜、私はあなたが支配人の妹さんとここで親密にされているのを見ましたよ」
「っ!諏訪内さん!」
副支配人は立ち上がると真っ赤になった。
支配人貝原繁の妹は親の決めた許嫁がいる。だが、この副支配人と恋仲らしい。
私は支配人である繁が出張などのとき、最近は特にホテル本店を任されるようになった。それで当直をした際、二人が親密なのを目にした。