迷路の先には君がいた
「総帥には黙っていてあげます。その代わり、今日は副支配人の指図ということで従業員に説明して細井さんと交代します。ただ安心してください。支配人への責任は私が取ります」
「馬鹿だな……君は甘いね。四年待った繁さんが許すとは思えない」
芙蓉は副支配人に何も返事をせず、その場を去った。
そして、急いで細井由里を探すと、控室にふたりで入って事情を説明した。
細井はしばらく考え込んでいたが、芙蓉の決意が固いのを見て諦めた。制服を交換してバッジをつけなおす。
細井は短い髪を整えて、着替え終わると彼女に言った。
「芙蓉様、こんなことして大丈夫ですか?」
「支配人は隠れてきた私がずっと繁の元にいたと彼に知らしめてショックを与えさせたいだけなのよ」