迷路の先には君がいた

「……な、なに言ってるの?」

「従業員はそのまま、新しく今大阪とパリで建設中の新ホテルへ移ります。新しいスワンの支店になるんです。今、少し離れた場所に別館として建設中のあそこです。要するに建て替えと思ってくださればいいんです」

「えええ!」

「ご存じの通り、差し出したあの二店舗は黒字ですが、そろそろ修繕建て替えが必要でした。だから、中田様に条件としてお願いしました。四年間の儲けから新築しています」

「そんなことを知ったら貝原オーナーが……」

「お嬢様。あのホテルは空になったとはいえ、大理石などをふんだんに使っています。特にパリは石造りです。フランスからも建造物の勲章ももらったことがあります。歴史的価値はあるんですよ。私ならリニューアルして美術館とレストランをいれたサロンにでもします。十分収益が見込めます」
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