迷路の先には君がいた

「圭吾さん……あなたって……」

 圭吾はにっこり微笑んだ。芙蓉は、この人は別な面でも優れた能力を持っていると今初めてわかったのだった。

「わかったわ。でも、そういうことじゃないのよ、お父様の借金分をとにかく鷹也に……」

「それはこれからでもゆっくり返してもらう。ただし、別な形でな。俺の金だ。俺の希望通りに頼むぞ」

 芙蓉は立ち上がった。

「何のために隠れていたと思ってるのよ!あなたにお金を使わせたくないからだったのに。どうしてお金を出しちゃうの!絶対だめ!」

 騒ぐ芙蓉に圭吾はまあ、まあ、と手で示した。
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