迷路の先には君がいた
 * * * 

 彼の運転する車は大きなタワーマンションへ入った。

「ここは?」

「俺の住まい」

「え?ご実家はどうしたの?」

「ま、あっちこっち行くし、帰りも遅くなるから一人暮らしがいいんだよ。ロンドンから戻ってここへ来た」

「そうだったの」

 遠慮がちにする芙蓉を、手を握って連れてくる。

 玄関を開けて、大きな窓があるリビングを案内した。すごい眺望だ。芙蓉は目を瞬かせた。
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