迷路の先には君がいた
「それは……あなたを忘れようと努力しないとあそこで働けなかったもの」
「へえ、すぐに忘れられたんだ。俺は四年間も苦しんだのに……」
「嘘だわ。あなたの女性関係はとても華やかだったでしょ。知ってるのよ。ここに女性を連れてきたことがあるんじゃないの?」
鷹也は芙蓉を引き寄せると、顔をじいっと見て言った。
「ここには誰も入れない。ここは芙蓉と住むために選んだ部屋だ。言っただろ……眺望も、ベッドもお前の好みを考えて発注してあった。別れる前からだ!」
「……うそ……」
「スワンの本店にも通いやすいこの場所を選んだ。帰国後お前と同棲するつもりで前から手配していた」