迷路の先には君がいた

 しまったと思った芙蓉はもう取り繕う余裕がなくなった。

「無理やりされて、でもキスは昔あなたと会う前に何度か……」

 言った瞬間に、芙蓉は鷹也に食いつかれた。唇を割られた。

「……ん……んっ……」

「お前のこの唇は今も昔も俺だけのものだ。きちんと消毒しないといけないな」

 鷹也はそう言うとまた唇をふさいだ。

「……あ……ンう……」

 水音がする。首筋にキスが移る。
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